JLPT N1MODE BACA
JLPT N1 - 2024年12月
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SESI 13 SOAL
主張理解 (Pemahaman Opini Penulis)
次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして、最もよいものを1・2・3・4から一つ選びなさい。
WACANA / STIMULUS SOAL
最近、日本ではテレビや書籍で脳科学者がブームになりました。脳科学が一般の人々の関心を強く惹いた最大の理由は、脳科学によって自分がよりよい人生を歩めそうだと感じるからではないでしょうか。
科学は事物を客観的に扱う三人称的な学問です。そのため、何か冷たく、自分とは関係のないようなよそよそしさを感じてしまいます。ところが、脳科学は人間の感情や思考や行動に関わる科学です。そのため、科学としては初めてのことですが、まるで文学や芸術のように一人称世界に踏み込んできて、幸せな人生のノウハウを提供してくれているように思えるのです。
しかし、せっかく関心を持っている人に水を差すつもりはないのですが、脳科学が今よりずっと進歩したとしても、人間の心や私たちの人生について、すみずみまで解き明かせるようになるわけではないと肝に銘じておいた方がよいと思います。脳は複雑で、まだまだわからないことが多く、普遍的な法則に到達するまでの道のりはきわめて遠いのです。そして、たとえ到達できたとしても、科学の普遍法則は人生の個別性や一回性に対しては全く無力です。ゆえに、人生の個別の事柄に適用して何かを予言したりすることは、おそらく不可能でしょう。
もう一つ大切なのは、科学は事実を扱うことはできますが、価値観の問題を扱うことはできないということです。ですから、脳科学によってある事実が判明したとしても、それを価値観と混同してはいけません。たとえば、ある脳科学の本に、『こうすれば脳を活性化できるので、みなさんもやってみましょう』と書いてあったとします。ですが、脳の活性化は絶対的な価値でしょうか。極端な例で考えてみましょう。副作用の全くない薬物だったとしても、薬物で健康な人間(たとえば受験生)の脳を活性化することは許されるでしょうか。これが許されるかどうかは、倫理や価値観に属する話です。価値観は個人と社会が決めるものです。そして、個人の価値と社会の価値も同じとは限りません。脳科学の知見は事実を記述したものであって、価値とは何の関係もないのです。
(中略)
人類がどのような未来を選ぶかという問題も、結局のところ価値観の問題です。科学は、選んだ未来を実現するための道具にはなり得ますが、未来を選ぶ価値観の問題を扱うことはできません。
(注1)よそよそしい:無関係である
(注2)一人称:書き手が自分自身をさす
(注3)水を差す:わきから邪魔をする
(注4)肝に銘じる:心に強くきざみつけて忘れない
(注5)一回性:一回起こるだけ
(注6)知見:見解、見識
1
筆者によると、人々は脳科学に何を期待しているか。
1.
複雑な脳の仕組みをわかりやすく説明してくれること。
2.
どうすれば自分が幸せに生きられるかを教えてくれること。
KUNCI3.
人間の感情や思考や行動の扱い方を教えてくれること。
4.
人間にとって幸せな人生とは何かを客観的に示してくれること。
2
脳科学について、筆者の考えに合うのはどれか。
1.
個人の人生に適用するには、普遍的な法則を見つけなければならない。
2.
人の脳の機能をすべて解明できたとしても、普遍的な法則にたどり着けない。
3.
普遍的な法則にたどり着いたとしても、人生の個々の事柄には応用できない。
KUNCI4.
普遍的な法則に到達するには、人生の個々の事柄を解き明かさなければならない。
3
筆者が言いたいことは何か。
1.
科学が証明した事実は、個人や社会の価値観に影響を与える恐れがある。
2.
科学だけでなく個人や社会の価値観を考慮したうえで、未来を選ぶ必要がある。
3.
科学は個人や社会の価値観を扱えず、人類が望む未来の実現には役に立たない。
4.
科学は事実を対象とするものであり、個人や社会の価値観を扱うものではない。
KUNCI